高齢者の脳と身体の健康運動指導士 石井誠です。

介護予防教室では体操指導だけでなく、栄養や口腔などの講話、
そして社会参加やコミュニケーションとしてのグループワークが行われます。

 

そのグループワークでは
あるテーマに沿って皆さんで会話して、その内容を発表してお互い共有するようなこともあります。

例えば
『家の中で転びそうなところを考えましょう』『ながらで出来る運動は?』など教室の内容に直結したものもあれば、
『紅葉の名所は?』『日帰りで皆様で旅行プランを考えましょう』『あいうえお作文を考えましょう』などの脳を使う、ゲーム要素のものも。

 

そこでメインの指導者(以降メイン)はワークの手順やルールを説明します。
●誰かひとり書記を決めてメモしましょう
●一人30秒で発表しましょう
●まず、○○を決めて、次に□□を考える、という順番で行きましょう
など。

そして、発表の時は
●発表の順番を決めましょう
●発表するときは皆さんでその内容を聞いて、終わったら拍手しましょう。
など、スムーズに進行し、グループ内・グループ間のコミュニケーションが高まるように進行します。

ただ、メインがきちんと説明したところで、必ずしもその通りにスパッと進む…という事は少ないです。

【えっ?何するんだったっけ?】
【あんたからやり~、え~誰誰~~~?】と取り掛かれなかったり、
●喋り始めたら話があっちゃこっちゃ色んな方向にブレてワークの内容から脱線して戻らない。
●一人の話がなかなか終わらず、次に進まない
●だれも話そうとせずに、流れが止まったしまう‥。
●誰かが話している時に、別の方が違う人と会話しだして、発表している話を聞かずに盛り上がってしまう。

これらは、参加者の教室への意欲がある無し関係なく、
◆短期記憶機能低下(取り組む内容を忘れてしまう)
◆行動抑制機能低下(思った事を一旦我慢せずにすぐに行動に出してしまう)
◆注意機能低下(複数の事に同時に意識を払う事が難しくなる、例えば喋っている時に周りに意識を払う、など)

これらの加齢や認知機能低下による変化で起こりうることなので、●の事は起こっても当然、と考えます。

場の全体的にそのようになっている時はメインが一旦、流れを止めて再説明や修正の言葉がけで流れを修復すればいいのですが、●ある箇所だけ修復が必要
●メインがあるグループの対応に追われている時に、別のグループに関わる必要がある
●メインのいる場所から遠い場所に修復が必要なシーンがある
そのような時は、サブスタッフや周りのスタッフ(看護師さんなど)が個々に入って再説明や修正出来るのが良いですよね。

⇒次に何を行うかを、その場の進捗に合わせて説明する
⇒話が脱線していれば、その脱線話に相槌打って合せながらも、話を戻すタイミングを計って【ではそろそろ…】と誘導
⇒話が止まっていれば、【私だったら○○】【例えば…】などど話すきっかけを作る
⇒他の方が発表者の話を聞かずに別の方と盛り上がっていたら【続きは後で話しましょうね】と発表者へ意識を向けさせる

この様にアプローチしていただければ、メインはとても助かります。

 

そうする事でグループワークの進行がスムーズになり、きちんと取り組んでいる参加者に失礼なく進められますね。
(間違っても、参加者と一緒に内輪で盛り上がってしまったりしないように…。)

グループワークを行うのは
参加者にお題を考えて頂く事で、参加者同士でコミュニケーションを取る事で、発表で他の方の意見を聞くことで、
【脳を使う】【場の一体感を醸成する】【新しい視点や発想を得て刺激となる】【共感する場を作り、参加への意欲を高める】
などの目的がありますから、その目的に近づくようにメインとサブ、周りのスタッフがそれぞれの役割で何を行うのがベターなのかを常に考えながら行動したいですね。

私は、業務内容によってはサブスタッフとしてかかわる事も多いので、自身がメインの時に感じた上記の事を踏まえて、
その時のメインの方が進行しやすいにはどうすればいいか、や場全体の事を鑑みてサブの業務を行うように心がけています。