高齢者の脳と身体の健康運動指導士、介護予防体操教室指導の石井です。

介護予防の運動教室では参加者の方が様々な想いを持たれてご参加されます。
●自分の脚でいつまでも立っていられるように
●家族に迷惑をかけないように
●認知症にならないように
●身の回りの事は自分でやり続けられるように
●ご近所さんでお友達が少ないから、交流を増やしたい
●家に閉じこもりがちで何となく気分が落ちていたから
●運動したいけど、なかなか自分一人ではできないし

ほんの一部分。

共通して言えるのは

自分の身体でしっかりと動けて【自立】
自分のしたいことを自分で決めて行動に移せること【自律】

まさにフレイル予防ですよね。

フレイル予防では【身体的】【精神的】【社会的】に弱くなることを防ぐ事が重要。
この3つの要素はお互い影響し合うので、運動だけすればいい…のではないんですよね。

そして、参加者の中にはこの3つの要素それぞれが、皆さんレベルが違います。

■杖を使わないと外出できないけれど、とても前向きな方
■身体的には問題ないけれと、運動に対して不安度が大きい方
■色々と身辺忙しくて活動的だけれども、旦那の介護などで心身が疲れている方
■つい最近まではお元気だったのに、奥様を無くされて閉じこもり気力が落ちている方
‥‥

それぞれの方に対して【自立】と【自律】は何か?

【自立】は身体機能を高める事なので運動、+その身体を作るための栄養や休養などのアプローチ

では【自律】は?
◆運動に対して不安度が大きい方は、自分で運動する意欲が高まる事
◆気力が落ちている方は、外に出てみよう!という気持ちが湧く事
◆活動的だけれども心身が疲れている人は、リフレッシュして自分らしくいられる場を見つけ、自分をコントロールできる事
◆気持ちが前向き、社会参加に意欲的な方は、周りの方への働きかけ(活動への参加)などコミュニケーションを活かしての
地域やその場での担い手的な活動(周りに影響を及ぼす存在)

その人それぞれの自律があると思います。
それを、教室の運動メニューの中でどのように伝えていけばよいか…。

ストレッチや筋トレ、脳トレ、口腔体操、などの体操を指導者の指導の下に一斉に行うだけでなく、
グループワークで運動について考える時間を設けています。

【身体についての悩みや希望をシェア】

【その悩みや希望に対してどんな体操を行えばよいかを皆さんで考えてみる】
(考えるためのヒントは指導者が提供したり、グループ内に介入してアドバイス)

【皆さんが選んだ体操のなかで自分ならどれが出来るかを決めて、それをシェアして宿題とする】

体操を何にするか、皆さんの身体の状態からその体操が正しいか?も大切ですが、ここでは
●気持ちを分かち合う
●皆さんでアイデア出し合ってみる
●参加者自身の経験などを話して、他の方が【なるほど~】と納得する
(そうする事で、話した方も【自分が役に立っている】…と自己肯定感が上がる)
●指導者が決めるのではなく、グループ内で自らが決めた!という事なので主体性が出る
●皆で相談して決定したので、一緒に頑張ろうという一体感が出る
●何よりも、みんなでコミュニケーション取る時間が楽しい

そのひとそれぞれの【自律】を引き出すためのアプローチになると思っています。

■この教室は、頑張って出かけよう!
■これだったら家でも運動取り組める!
■この場で自分らしくいられるから、日々頑張ろう!
■周りに気になる人がいるから、勧めてみよう!

こういうワークすると、脱線はつきもの。
テーマと関係ない話でどんどん本題からそれていってしまいますが、時々戻してあげながら。
あと、グループ間で取り組みのスピード差が出ますが、早く終わったところは
そのままコミュニケーション楽しまれているので、良しとしましょう(^_^;)

先週は、なかなか体操が決められないグループがありまして‥
『どれ選んだらいいか迷います』
「では、このページの中から1つで良いですよ」
『えっ?それだけ?』
「沢山あってあれこれ迷うより、まず何か一つ選んで実施しましょう。食べ物選ぶ時にメニューに沢山あり過ぎるとあれやこれや悩んで決めきれないでしょ?品数少ないメニューだとパッと決められるでしょ?」
『だって、私はそういう時全部食べるつもりだもの…』(笑)
(隣の方が)
【こういうのって『ああ言えばこう言う』やね~~】
グループ一同(笑)

参加者にとって身体的・精神的・社会的に大切な取り組みの時間となるように、
これからも参加者の【自立】と【自律】にアプローチしていきます。