高齢者の脳と身体の健康運動指導士、介護予防体操教室指導の石井です。

介護予防体操指導で、
●足幅や座る位置、身体の向きなどのポジション取り
●左右それぞれの腕や脚の動き
が伝わらず、違う動きやポジションになったりその動きが出来ずに戸惑われている…
そんな時があります。

例えば
「お尻を座面の真ん中からやや前方に座りましょう」と
具体的に位置を示しても、座面の奥の方に座ったままの方

「右腕を前に伸ばし胸元へ、左腕で抱えて引き寄せましょう」と
左右の腕の動きを詳しく伝えながら正面からはっきり見せても、
右腕・左腕をあっちゃこっちゃ入れ替えながら抱え直して動きが定まらない方

あとこういうポジションも戸惑われる方多いですね。

指導者は
【動きをはっきり見せている】
【説明は何を(右腕を)どうするか(前に伸ばして胸元へ)を簡潔に分かりやすく伝えている】
にも関わらず。

参加者からすれば
『私の座っている位置はやや前方だわ』(と思いこんでいる)
『左腕を、えっ?どうやって抱えるの?右腕の中に入れてしまうの?…え~~っと…』
といった感じでしょうか?

脳機能の一つに【空間認知】というものがあります。
「3次元空間において自己と空間の相対的位置関係を把握すること」と定義されています。
●自分のお尻と座面の位置関係
●右腕と左腕、どちらが身体に近い方でどちらが離れている方か
⇒高さ・幅・奥行きなどの距離感をつかむ力が影響します。

●指導者が対面(参加者と向き合って)指導していると、指導者と参加者自身の右側と左側が混同してしまう。
⇒上記の空間認知に加え、参加者の動きを見たまま真似る事(ミラーリング)と自分の身体の左右を認識して動く事の区別がつかなくなる事から起こります。

そんな中で指導者が
「もう少し前へ」
「右です、右!」
「こうして抱えて!」(動きを何度も見せながら)

と、一生懸命伝えたとしても参加者にとっては
『前にしているし…』
『えっ、右腕で行っているし…、あれ?先生右じゃない?あれ左だったっけ?』
『先生の抱えた腕は、手前?奥?とすると私はどっち?』
混乱したまま、気持ちよく取り組めないかもしれません。

【動きのポジション取りや左右の腕や足の位置が伝わらない時の伝え方】
◆自身の身体と空間や物との位置関係が理解できるような見せ方


正面から「お尻は椅子の座面のやや前方へ」と説明しても、
参加者からすれば指導者が座面のどのあたりに座っているか分かり難いので、お尻をどの位置に置くかのイメージが付きにくいかもしれません。
だとすれば、横向きに座っている姿勢を見せて、座面の奥行とお尻の位置を手で示しながら伝える配慮が必要です。

◆高さや幅や奥行きを「一つの情報を」「具体的に」動きと言葉で伝える
◆伝える内容に合わせての動きを見せる位置(対面、その方の横に立って、など)を変える


先ほどお見せした肩のストレッチ。
「右腕を胸の高さで前へ」(ここまでの動きをはっきり見せる)

「胸元に寄せて」(ここまではっきり見せる)

「反対の腕で下から抱えて押さえます」(先に上げた腕の方が身体に近いことを横から見せるのも一つ)

更に、正面から見せていて混乱しているようであれば、その方の横に立って動きながら説明。
(そうすると、左右混乱せずに真似できます)

参加者にとって【分かりやすい・混乱しない】動きの伝え方を意識し、
運動になれていない、不安な方に安心していただけるような指導を行いたいですよね。

指導の循環という集団指導のアプローチの原則があります。
その中の【動きの指示・誘導】についてお伝えしました。
指導の循環については
JAFA(公益社団法人日本フィットネス協会)を詳しくご覧ください。
(リンク先ページの下部にイラストで解説されています)

参加者が安心して運動に取り組める、集団の高齢者運動指導者を共に目指しましょう!

【講習会・レッスン情報】

脳活性化『シナプソロジー®』
●体験レッスン
(オンライン)
8月27日(土)14:00~
(現地[あべのハルカス]開催)
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それぞれ14:00~と15:00~

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(現地[西宮]開催)8月27日(土)9:45~

高齢者指導
椅子からの立ち座りをスムーズに導く為のシニア指導のコツ(オンライン)
7月30日(土)10:00~

指導の循環をストレッチで学ぶ
JAFA(公益社団法人日本フィットネス協会)
SE(ストレッチングエクササイズ)資格取得講習会&資格認定試験
9月23日(金・祝)@兵庫県民会館